2026/10/14
京都の鍼灸師が考える、肩こりとめぐりの関係

「肩が重くて、一日中すっきりしない」
「もんでもらっても、その場だけ。すぐにまた戻ってしまう」
「ひどいときは、頭痛や吐き気まで出てくる」
肩こりは、あまりに身近なだけに、我慢してやり過ごしている方が多い不調です。
京都で鍼灸の仕事をして21年。30代から50代の女性の患者さんにとって、肩こりはいちばん身近なお悩みのひとつです。けれど、ただの肩こりと侮れないこともあります。
もんでも戻るのは、原因が別にあるから
こりを感じる場所をもむと、一時的には楽になります。ところが、しばらくするとまた戻ってしまう。それは、こりの“結果”をほぐしているだけで、“原因”が残っているからかもしれません。
肩こりの多くは、同じ姿勢の積み重ねから始まります。うつむいてのスマートフォン、長時間のデスクワーク。頭の重さを支え続けた首や肩の筋肉は、少しずつこわばっていきます。
こりの正体は、めぐりの滞り
筋肉がこわばると、そのなかを通る血のめぐりが滞ります。すると、疲れのもとになる物質が流れにくくなり、重だるさや痛みとして感じられるようになります。もむと一時的に楽なのは、血流が押し流されるからです。
東洋医学では、こうした状態の背景に、
〇気滞(きたい):めぐるはずのエネルギー(気)が滞った状態。
原因:ストレス、イライラ、寝不足、寒暖差
症状:イライラ感、不安感、情緒不安定、のどのつまり感、ゲップやオナラが多い
〇瘀血(おけつ):血液の流れが悪くなり滞っている状態。
原因:ストレス、冷え、運動不足、冷え、食生活の乱れ
症状:肩こり、頭痛、唇が紫色、ホットフラッシュ(冷えのぼせ)
〇痰湿(たんしつ):体内に余分な水分が停滞した状態。
原因:脂っこいものや甘いものの摂り過ぎ、お酒の飲みすぎ、胃腸の動きが悪い、湿気
症状:体の重だるさ、むくみ、めまい、吐き気、軟便や下痢
〇気血両虚(きけつりょうきょ):体を動かすためのエネルギー(気)の不足と栄養や潤いを与える血が不足している状態。
原因:胃腸の働きが悪い、睡眠不足、疲労、手術
症状:疲労感、疲れやすい、気力が無い、息切れ、汗が凄く出る、食欲不振、動悸、めまい、不安感、集中力低下
緊張やストレスで、無意識に肩へ力が入り続けることも、めぐりを滞らせる一因になると言われています。
つまり、大切なのは、こった場所をほぐすこと以上に、めぐりそのものを取り戻すことなのです。
なお、手や腕にしびれや力の入りにくさがある、突然の激しい痛みが出た、という場合は、肩こりとは別の原因のことがあります。早めに医療機関で相談してください。
かんたんセルフチェック
当てはまるものが多いほど、めぐりが滞りやすくなっているサインかもしれません。
□ もんでも、すぐにこりが戻ってしまう
□ うつむく姿勢や、同じ姿勢が長く続く
□ 肩や首が、冷たく感じることがある
□ 気づくと、肩に力が入って、すくんでいる
今日からできる、3つの養生
むずかしいことは必要ありません。今日からできることを、3つだけ。
① 肩甲骨を、ゆっくり動かす
こりをもむより、動かすこと。肩を大きく回し、左右の肩甲骨をぐっと寄せる。筋肉が動くと、滞っていた血のめぐりが流れ出します。1時間に一度を目安にどうぞ。
② 肩を、温める
冷えは、めぐりの大敵です。蒸しタオルを肩にのせる、湯船にゆっくり浸かる。温めてゆるんだところで軽く動かすと、こりはいっそうほどけやすくなります。
③ 画面の位置を、目の高さに
うつむく姿勢こそ、肩こり最大の原因です。スマートフォンやパソコンの画面を、目の高さに近づける。見下ろす時間を減らすだけで、肩の負担は大きく変わります。
3週間を目安に、続けてみてください
こり固まった体は、一日ではゆるみません。けれど、こうした養生を3週間ほど続けると、「戻るまでの時間が長くなった」と感じる方が多いものです。21年、診てきて、そう実感しています。
我慢せず、早めのケアを

もんでも戻る、痛み止めや湿布が手放せない 。そんなときは、我慢せず、一度ご相談ください。あなたの姿勢やこりの状態に合わせて、めぐりの整え方を一緒に考えます。
肩こり・腰痛の症状別コラムも参考にしてみてくださいね。

